12月7日(水)東京都私立・自由学園初等部でアフタースクールに参加した3年生(3人)、4年生(3人)、5年生(6人)の計12人の子どもたちと一緒に「コンポストマスター養成講座」キックオフを行いました。この中で、5年生の5人は「サステナ部」の部員です。
学校法人自由学園は幼稚園・小学校・中学・高校・大学部・45歳以上の一貫教育校ですが、幼稚園から始まるどの段階の子どもたちもキャンパス内に自分たちの畑を持ち、栽培し、調理し、共に食卓を囲み、片付ける、食の循環を体験する「食と農の学び」に取り組んでいる素晴らしい学校です。
今回の「コンポストマスター養成講座」キックオフに先立ち、先々月の10月21日(金)には、自由学園初等部生の放課後のための「JIYUアフタースクール」ご担当の渡邉武俊先生(地域子育ち支援本部 本部長)の他、大学部から吉川慎平工学博士(環境文化創造センター センター長 准教授)にもご案内いただいて、キャンパスツアーをしていただきました。
まずは、生徒・学生が植林し育てた木による木造校舎 「自由学園みらいかん」の空間に感動。アフタースクールでも利用されているこの空間でお話を聞きました。
「自由学園 環境文化創造に関わる一般教育」曼荼羅と、分野間の繋がりの図。
広大なキャンパス内では、水質管理などのデータがきちんと取られていること、それらのシステム構築も日々の管理も学生や生徒の皆さんが率先して行われていることに感心しました。
「コンポストマスター養成講座」にも繋がる、堆肥づくりを工夫されている様子や、アートの先生が授業に使うという土を一生懸命分類していらした様子も、興味津々で拝見しました。
そんなこんなで待ち通しかったですが、いよいよ当日を迎えました。スライドも使用するため、多目的室をご用意いただきました。
事前学習から、弊社が運営するLMS(ラーニングマネジメントシステム)「PM義塾オンライン」を介して先生や子どもたちとコミュニケーションを始めていました。
当日、授業を終えてパラパラと集まってきた子どもたちは、さっそくログインして、事前ルーブリックへの入力を行っていました。SDGと協働学習に関する意識と行動について、学習の前後でどのような変容があったか、データを残し分析することで今後の学習に活用します。
ワークショップ開始。最初に弊社代表の柳沢から「コンポストマスター養成講座」の趣旨を説明。
「コンポストマスター養成講座」は、土の中の生き物や、キノコや微生物など”自然”に興味がある皆さんを対象に、美味しくて元気な野菜が育つ ためには土の中が健康である必要があること、よい堆肥づくりやコンポストの仕組みについて、土の中の生き物の働きなどを学びながら、今後プロジェクトを立ち上げて楽しく活動をしていく人たちを養成する講座です。
コンポストマスターとは、
- 土の豊さと微生物の関係について学ぶ人
- 学校や地域の土の現状と課題について調べる人
- コンポストの問題点や失敗する理由を考える人
- コンポストの有効な活用法を実践するリーダー
です。今回は導入編なので、まずは、土壌微生物の土壌中での「生きた」姿を撮影した銀河のような画像を見たり、土壌微生物多様性・活性値のデータを音に変換した音楽を聴いたりするうちに、神秘的な土の中の世界へと、どんどん引き込まれていきます。
後半は、4人ずつ3つのグループに分かれ、
- 経験談を話し合って、 コンポストのお悩みごとを 書き出しましょう。
- より良いコンポストづくりのために 皆さんは何ができそうか、何を調べればよいか、 書き出してみましょう。
というディスカッションをしました。どのグループも上級生を中心にタブレットを使いこなし、議事録をLMS上のフォーラムにしっかりと残していました。
コンポストの経験談・お悩みごととしては、
- 臭くてやる気が出ない(残飯が)
- 汚い(土が手につくこと)
- 埋める時、かき混ぜるのが大変 (スコップが重い) (疲れる) (土も重い)
- 他のものが混ざっているから、分別がめんどくさい
- 間違えがある(魚の骨が入る)
- 土の中の虫や、みみずなどが苦手 (見た目があんまり好きじゃない。)
- 幼虫がいる(幼虫が殺されるのが可哀想だから)
- 一瞬で溜まる。(場所を変えないといけないし、やる回数が増える。)
などの意見が出ました。
解決法については、
- ミミズを入れてふかふかの土になる
- ガスマスク、カバー、鼻栓などをすれば臭いはなくなる
- ビニール手袋をすれば汚いって感じなくなるのでは?
- 力をつける。軽いスコップを買う。順番にやる。力をつける。
- 好きになる。 慣れる。 逆に興味を持つ。
- 何を入れるかわかる人が教える(入れていいもの、悪いもの).
- ゴミを自分たちで分別する(ゴミ箱に入れて良いものと悪いものを書いておくなどなど)
- においがしにくいコンポストを導入する
- 自動スコップを開発する
- ゴミを分別する機械を買う
など。最終的には、5年生から、「自分たちの土から美味しい野菜が採れて、それが売れて評判になれば、苦労も報われて嬉しくなると思う」という素敵な意見も出ました。
また、別の5年生から、「自分たちの土の音も聴いてみたい」という声が上がり、3〜4年生も「そうそう!」と大きくうなずいていました。
まだまだこれから道のりは遠いですが、きっとみんなの夢が実現するように、私たちも永続的にサポートしていきます。
最後に、見学に来てくださった大日本印刷の伊藤さん(写真、向かって左)、多摩六都科学館 天文グループの直江さんから、コメントをいただきました。
直江さんより:「子どもたちの、環境への関心の高さとICT機器の使いこなし具合に驚きつつ、今後継続していくことでどのように考える力が深まっていくのか、楽しみになりました。」
なお、弊社では、今後も活動に参加してくれる子どもたちにコンポストマスターのデジタルメダルを進呈したいと考え、デザイン中です。