経済産業省「地域におけるエネルギー教育実践事業」に取り組む愛媛大学附属高等学校において、2026年10月14日、リコージャパン株式会社による出張特別授業が実施されました。
同校で進められている「次世代太陽電池×地域空間データ(GIS)」の探究プロジェクトを支援するため、弊社(有限会社ラウンドテーブルコム)が学校側の要望を受け、企業とのコーディネートを担当しました。
企業の「生きたGX戦略」を高校生に届ける
愛媛大学附属高校の生徒チーム(指導教員:上床 孝樹 先生)は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池などの次世代再エネ技術を地域社会にどう実装できるかをテーマに、数理・データサイエンスのアプローチから探究を進めています。
学校側からの「実社会で脱炭素や最新太陽電池の普及に取り組む企業のリアルな知見に触れさせたい」という相談を受け、弊社よりリコージャパン株式会社 GX事業部 脱炭素ソリューション企画室の清水 洋岐 様にお繋ぎし、今回の松山現地への出張授業が実現しました。
講義は「GX(グリーントランスフォーメーション)と次世代ペロブスカイト太陽電池」と題して行われました。
- 脱炭素経営が求められる国際潮流: 気候危機の現状(IPCCシナリオ)や「パリ協定」以降の世界的なESG投資の拡大、サプライチェーン全体(Scope 1〜3)での排出量開示・削減要求といった、企業が直面しているグローバルな経済環境の変化を解説。
- エネルギー構造とコストの現実: 化石燃料依存とウクライナ情勢等による燃料調達コスト・電気料金の変動メカニズム、再エネ賦課金の推移など、社会インフラとしてのエネルギーが抱える課題をデータで提示。
- 脱炭素に向けた企業の打ち手: エネルギーを「知る(見える化)」「減らす(省エネ・ZEB)」「創る(太陽光等)」「選ぶ(再エネ電力購入)」「融通する(蓄電池・VPP)」という5つの実践ステップを紹介。
ペロブスカイト太陽電池の社会実装:実証実験の最前線
講義の後半では、生徒たちが研究対象としている「ペロブスカイト太陽電池」の実用化に向けた最新の取り組みが共有されました。
リコーグループが開発・実証を進める、配線工事不要で停電時にも自律稼働する「防災型庭園灯(Airソーラー)」の東京都内(東京体育館やお台場海浜公園)での設置事例や、室内光で発電して稼働する「ペロブスカイト搭載環境センサー」の自治体本庁舎での実証などが紹介されました。
「軽くて曲がる」「微弱光でも発電する」という物性上の特長が、都市部の避難所やビルの室内など、従来のシリコンパネルでは設置できなかった場所でどのように価値を生み出しているのかを具体的に学びました。生徒たちからは、松山市内での配置モデルや発電効率に関する鋭い質問が寄せられました。
教室と社会をつなぐコーディネーションの役割
学校の探究学習(PBL)において、教科書の枠を超えた「実社会の最先端」に触れることは、生徒の思考を一気に現実の課題解決へと引き上げる契機になります。一方で、多忙な教員が民間企業の専門部署を探し出し、授業の文脈に合わせて招聘することは容易ではありません。
弊社では、探究管理ツール「i-TanQ」によるログ蓄積・可視化にとどまらず、学校の探究テーマに応じた外部専門家や先端企業のコーディネートを通じて、教育現場と産業界が共に未来の担い手を育てるエコシステムの構築を進めています。
愛媛大学附属高校の生徒たちは今後、今回の講義で得た企業の視点を取り入れ、地域空間データを活用したエネルギー配置計画の精度をさらに高めていく予定です。
