豊南高校SPP

サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト第三弾、豊南高校での研修が始まった。

梅雨の中休みで湿度はありながらも日差しは明るい初夏の高校の物理室で、社会人、大学関係者が応援団として加わり、高校生とほぼ丸一日、共に学習した。

豊南高校では、学習総合プロジェクトマネジメント力、自立的学習能力の向上を目指し、レゴのマインドストームを活用したロボット学習を通じて、秋の文化祭での発表を目指す。

第一日目の講義は、プロジェクトマネジメントを中心とする研修。フェリス女学院大学からTAが二人参加してくれた。一人は国際交流学部国際交流学科で私の授業を受講してくれている斎藤菜穂さん。もう一人は根間亜里沙さん。二人とも海外での学習経験がある。前者はインドへの短期研修を体験しており、現在その模様を私の授業で映像化するプロジェクトを打ち立てて挑戦中。授業でもチームでの作業を経験している最中で、初歩のプロジェクトマネジメント学習は経験済み。後者は台湾への一年間の交換留学経験あり。社会人になってもこの留学体験で得た人脈をビジネスに生かしたいと思っているとか。ふたりともしっかりしている。特に最近の学生はアジアとの繋がりが深くなっているのは偶然か?今後の世界市場の未来図を想定すると良い傾向かもしれない。

豊南高校は共学なので参加してくれる生徒にも女子が加わってくれているかなと期待したが、残念ながら参加希望者は男子生徒のみとなった。

最初に私からサイエンス・パートナーシップ・プロジェクトは学内関係者だけではなく、大学やNPOの協力もあり成立している貴重な学習体験であることを伝えた。また、だからこそインターネットを活用したコミュニケーションコントロールが必要で、各自の学習記録を、準備したSNSで積極的に記録して欲しいことを強調した。幸い授業開始前に生徒達は全てSNSに登録が完了しているという素晴らしい生徒指導が担当の辻元俊夫先生、池上太一郎先生の協力の元実施されていた。授業以外での交流もこれで提供できる。学校と社会が繋がった学習環境を提供できるだろう。

SNS
SNS

各生徒の学習環境を調査する為に学習環境アンケートも実施した。今回の生徒達は、全員PCを所有しており、約7割がiPod等も保有しているというICT系マニアの集まりのようだ。パソコン部と進学希望の優等生が集まってくれたらしい。期待が持てる。

学習スタイル診断も実施してみると案の定バラバラの結果で、うまくチームでの役割分担に活用してくれると嬉しい。生徒から結構この診断当たってますとのコメントもいただいた。

学校側から要望されていた各学習能力についてのルーブリクスも作成し、現時点での自己評価表も提出してもらった。レベル的には丁度中間程度の自己評価に落ち着いたので、こちらも今後の伸び率が楽しみだ。

 

仁科基調講演の後は、私も所属しているNPO法人プロジェクトマネジメント・インキュベーション協会のメンバーでもあるIBMの仁科斉PMからの練り抜かれ、バージョンアップしたワークショップを通じて、実際に手を動かす実習も含めてプロジェクトマネジメントについて学んだ。大学生も授業以外でも学べる良い機会になったようで、帰りの車の中では、これからも積極的にプロジェクトマネジメントを学んでみたいという嬉しい発言が連発していた。

 

 

 

 

役割分担 ヘリポート

ブレインストーミング

次は8月7日にフェリス女学院大学を舞台に変えて、レゴのマインドストームを使った研修を内田奈津子先生と共に展開する予定。

宇宙エレベーター研修

サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト第二弾プロジェクトの始動!聖学院中学高等学校の生徒と共に宇宙エレベーターについて学ぶ。今回はオブザーバーとして参加。

講義は日本大学理工学部教授の青木義男先生。ゼミでも富士山で行われた国内の大会に出場しており、実際の大会の模様をビデオ映像で紹介いただいた。海外での大会では、NASAの職員も参加しているとのこと。全世界で叡智を結集しようとしている大掛かりで本格的なプロジェクトだ。

青木義男
日大理工学部、青木義男教授

宇宙エレベーター協会の会長の大野氏とは、実は以前ある仕事の関係でお付き合いしたことがあるのを思い出した。

まずは宇宙の話。地表から400kmの地点で展開している国際宇宙ステーション、36000kmの地点にある静止軌道衛星、100000km地点での宇宙エレベーター。のっけからやはり途轍もない大きなプロジェクトであることが想像できた。

様々な宇宙開発プロジェクトとの比較として機材の重量と費用の話も面白い。スペースシャトルは運搬量20トン/総重量2000トンで500億。国産のH2Aロケットは運搬量10トン/総重量290トンで100億。宇宙エレベーターは運搬量10トン/総重量20トンで10兆円。1週間で往復するそうだ。エコで効率は良いが、費用の点でどう着手していくか、戦略が必要。今後の技術開発で改善される事も多いようで、この辺りが技術立国日本の未来を引っ張ってくれるのではないかと可能性を感じた。

現在世界で最も強度のある宇宙エレベーターのコースになるカーボンナノチューブは鉄の20倍の強度があるらしい。ケンブリッジで実験が成功しているとのこと。

特にこの技術の応用でビジネス化が検討されているのは、日本で足りないエネルギー政策の一環としての宇宙太陽発電システムだそうだ。かなり期待されている模様。3基で日本の国土を全てカバーできる電力を生み出せるとのこと。5km×5kmの太陽光発電パネルを展開するアイデアがあるそうだ。

成層圏以外の宇宙の空間領土の問題や、太陽光兵器の心配をしたのは、創造力に傾きすぎた文系の心配かもしれないが、講演を聞きながらふとそんな事が私の頭の中でグルグル回っていた。


戸邉治朗

青木先生をアレンジしてくれたのはフェリス女学院大学の内田奈津子先生。以前国土交通省の「地球地図の学校」のプロジェクトでご一緒して以来の共同活動だ。聖学院には私の大学のゼミの後輩でもある高橋一也先生が中心になっていただき申請、今回は戸邉治朗校長先生に最初のご挨拶をいただき、副校長の清水広幸先生が授業を仕切っていただいた。

次はフェリス女学院大学で、プロジェクトマネジメントを学んでもらう。私の出番だ!

レゴのマインドストームを使った体験学習も学校でアレンジする予定。

 

聖学院中学高等学校
聖学院中学高等学校

メディアとしてのインターネットの活用のすすめ

来年度、出講依頼を受けて、某大学で開講する予定の私の講座名だ。学部は国際交流学部。

2005年〜2007年 多摩美術大学情報デザイン学科「インターネット放送」
2008年 杏林大学応用コミュニケーション学科「コンテンツ実習」
2008年〜 関東学院大学工学部情報ネットメディア工学科映像クリエーションコース 「メディアワークショップ」

に引き続き、学生達をネットで自立できる人材に育成するプロジェクトを目指す。

さて、どんな授業になるか楽しみだ。