データポータビリティ権ってどうやって広まるだろうか?

どんなフォーマットでデータを返してもらったら良いのだろう?

例えば、Facebookへの投稿。
やはり、カレンダーデータだろうか?
それともcsvデータ?

投稿への反応データはやはり自分のものではないので、取りに行けない。
自分が反応したデータは取りに行けることになるのだろうか?

色々と考えさせられる。

 

情報社会論的に見たデータポータビリティ権

2014年度、フェリス女学院大学で提供した講義「情報は世界を変える(情報社会論)」でも学生達と一緒に考えた話題が、最近世の中でも取り上げられるようになってきたと思う。
ヨーロッパで先行して議論されているデータポータビリティ権について、私たちも考えなければならない段階に来ているのではないだろうか。
(生貝直人「個人が事業者等に提供した個人情報は、本人が扱いやすい電子的形式で取り戻したり、他の事業者(プラットフォーム)に移して乗り換えることを可能にする権利を設けよう」、http://bylines.news.yahoo.co.jp/ikegai/20160320-00055665/)

情報社会論という概念は日本の官僚でもあった増田米二氏が描いた未来予想から始まっているのだろう。

コンピュータリゼーションの発展段階とプライバシー問題の推移をわかりやすく説明してくれている。

増田米二著、「情報社会入門:コンピュータは人間社会を変える」、ペリカン社、1968年

アルビン・トフラーが話題になったのは1980年なので、その先見性は評価されるべきだろう。

アルビン・トフラー著、「第三の波」、日本放送出版協会、1980年

増田氏はその著書で次のように予測している。(p.44)
コンピュータリゼーションの発展段階
1 巨大科学ベース
目標:国防・宇宙開発
価値観:国家威信
主体:国家
対象:自然
基礎科学:自然科学
情報化パターン:目標構成型
2 経営ベース
目標:国民総生産
価値観:経済成長
主体:経営体
対象:組織
基礎科学:経営科学
情報化パターン:効率追求型
3 社会ベース
目標:国民総福祉
価値観:社会福祉
主体:大衆
対象:社会
基礎科学:社会科学
情報化パターン:問題解決型
4 個人ベース
目標:国民総充足
価値観:自己実現
主体:個人
対象:人間
基礎科学:行動科学
情報化パターン:知的創造型

途中の社会ベースの部分が少し怪しいが、国家から企業へ、そして個人にその主導権が移行しているのはとてもわかりやすい。

twitterで個人的な意見を操って国を動かそうとしている輩も出てきているし、昨今の扇動政治家にコントロールされてしまっている個人の情報の扱い方の姿勢には十分な注意が必要で、私たち個人個人がさらに賢くなって、自分の情報を管理して行かなくてはならない時代に突入していると言っても過言ではないだろう。

私は、1995年から教育とICTをテーマに活動してきた。途中e-Learningで卒業できる高校の創立プロジェクトなども経験し、様々な教育機関でのe-Learningの普及にも貢献してきた経緯があるが、最近とみに心配になっているのは、子供達が作り込んだデータの管理の問題だ。

子供達は貴重な時間を費やしながら、学習した情報を積み上げている。日本では学校という組織の改革が情報先進国よりも遅れて、データを残せる環境は十分ではないが、ようやく現在になって整ってきた感がある。

しかし、その貴重なデータの取り扱い方を、ここでもう少し考えてみる必要があるのではないか、そんなことをここ数年私は様々な機会を通じて発信し続けてきた。

幼児教育から大学教育まで、様々な教育機関が学習者である子供達のデータを取得してきたが、そのデータはいったいどのような扱いを受けているのだろう?

実は教育機関では個人情報の問題もあるので、データをある一定年月保管したのちに、勝手に消去してしまっていないだろうか?

これは国家的な資産の喪失につながらないのか?

また、データを積み上げる努力をしてきた学習者達は、この辺りで立ち上がって、データの返還を求めるべきではないのか?データは作った個人が利活用できるような形で、戻してあげるべきなのではないか。

そんなことを考えて、「i-TanQ」という学習ログアプリを開発して、現在様々な教育プロジェクトの中で活用をしてもらっている。

K-12向けのPBLコンテストのBBCoach Project
ロンドンの金融街での大学生向けグローバル人材育成研修のGBLTP
英語学習者の為の英語ジャーナル作成プロジェクトの01-ecoach
関東学院大学でのPBL授業「メディアワークショップ
慶應義塾普通部の取り組み「選択授業:複言語」
上記のプロジェクトを支える教育SNSのi-create

学習者のデータはビックデータになりうる。そのデータの研究はまだ日本ではこれからの取り組みになるかもしれないが、研究する前にデータがなくなっている事実をこのまま放って置いて良いものなのだろうか?データポータビリティ権を主張する前にデータが消滅しているなんていうのは笑い話にもならない・・・

みんなでデータ、学習ログを守りませんか

 

 

 

自由学園の学園長との再会

先日、自由学園を初めて訪問することができた。

以前から気になっていたのだが、なかなか訪問する機会までに発展していなかったのだが、縁あって副学園長の高橋和也先生からのお誘いで実現した。

10年以上続けて来たK-12のクリエータ向けWebコンテストのBBCoach Projectのイベントの一環として、今回、学習コーチングに関してのワークショップを開催することになり、告知活動をしていたところ、高橋先生からメールをいただいたのだった。

BBCoach Projectとはプロジェクト・ベースド・ラーニングを体験できるコンテスト。チームでの参加が義務づけられ、さらに社会人の学習コーチも参加が必要という、少しハードルの高いコンテストだ。2003年から続けて来ている。

東京の郊外に位置する自由学園へは、自家用車で向かった。東京女子大学に通うのと同じ方向で青梅街道を進み、西武池袋線のひばりがおか駅を目指す。それは広大な敷地の中の森の中にあった。

高橋先生と共に校内の散策を楽しんだ。男子の中高、小学校、女子の中高と回ったが全ての校舎の作りが、食堂を中心に出来上がっている。人間は食べる事が基本。最近の学校教育では忘れ去られてしまった生活を中心とした教育が根付いていた。しかも校舎のデザインが素晴らしい。フランク・ロイド・ライトのお弟子さんのデザインとか。西池袋に明日館はロイド自らが設計している。建築資料としても一級品だろう。

キャンパス内に農園はあるし、豚も飼育している。竹林もあり、薪割りをして食堂で実際に使っているそうだ。都心の学校では、ビルの屋上にわざわざ農園を作り込んで無理くりの農業体験を提供しているところもあるが、この学校では校内に小川も流れ、小道には最近集めたイチョウの落ち葉等を敷き詰めていたり、自然そのものの中にうまくとけ込んだキャンパス作りがされていた。しかもその環境を子供たちの自治でまかなっているとのことにはさらに驚き。「こんにちわ」「お疲れさま」等の声が自然と子供たちから発せられる環境が出来上がっていた。

高橋先生からは、学園の中では様々なプロジェクトが稼働していることを伺った。私もその実績をもっと教育的に活用すべきであること、プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)という手法をその中でもっと活用できないかと語り合った。そんな散策を終えて、高橋先生が突然携帯電話を手にとって連絡をしてくれた。学園長と面談できるか急遽整えてくれたようだ。

実は学園長とは今回が二回目の出会いである。一回目は2003年の日本学術会議の大会だった。その当時、東大名誉教授の故石田晴久先生の紹介で出逢っていた佐伯胖先生から招待を受けて、講演をさせていただいた時だった。自由学園の教育を矢野恭弘先生が語り、私はインターネット上のバーチャルスクールの運営について説明をさせていただいたのだった。

今から考えると、どうもこの二つの教育、別物に見えて、似ているところがたくさんあるのではないかと感じる。

ひとつは究極の個別指導を目指していること、もうひとつはプロジェクト・ベースド・ラーニングの環境が整っているという点だ。

なかなか一般の学校では手の届きにくい、学習環境なのだが、どうやってその環境を現代の子供達に利用してもらうべきなのか、今後も一緒に考えていきたいと思う。素敵な出会いに乾杯!

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年賀状と変体仮名変換

年賀状を整理していた時に、質問されたので調査。
Macintoshの日本語変換ことえりの環境で
「ゐ」と「ゑ」をどのようにして変換するか?

日本語入力モードで
「wyi」スペースキー→「ゐ」
「wye」スペースキー→「ゑ」
となるそうです。

新年早々勉強になりました。
今年もよろしくお願いします。

2012年度学習環境調査:所有端末

学習環境ファシリテータ、学習コーチとしての活動として、2012年度になってから実施したアンケート調査です。

標本数:641人
中高生:56人
大学生: 585人

 

授業担当している学生、特別講演を聞いてくれた学生、サイエンス・パートナーシップ・プロジェクトに参加してくれた生徒達を対象してアンケート調査しました。
アンケート実施期間(2012年4月〜7月)

まずは全体の平均です。

PC所有率は88.91%でした。10%強の人がPCを持っていないことになります。この10%をどう考えたら良いかは注意が必要です。

Macintosh保有率は2.18%でした。

ガラパゴス携帯の所有率は35.21%と結果です。それに対してスマートフォンの所有率が21.10%、iPhone所有率が23.19%と出ました。

iPodの所有率は40.17%。iPadは6.66%です。Walkmanは17.42%。

中高生と大学生のデータを分けて分析してみるとさらにおもしろい傾向が見られました。

PCの所有率ですが、中高生の所有率が96.81%でした。既に各家庭には子供達が自由に使えるPC環境が整っているということでしょうか?それに対して大学生の所有率は82.98%という数字が出ました。親元を離れている学生もいると思いますので、そのあたりが影響しているのかもしれません。

 

 

一方で、大学の分類別で見ると面白いデータが取れました。

特に文系女子の大学の所有率が低く、大学別で見たときに理系大学の97.73%に対して、文系女子大61.17%という優位差が出ています。せっかく大学側がPC環境で利用できるe-Learningを提供していても、利用できない学生が存在するということです。これは何か手を打つ必要があるということでしょう。

 

 

モバイル端末関係の所有率にも中高生と大学生の間で面白い傾向が見られました。

スマートフォン、iPhone、iPodのデータはいずれも高校生は平均値を下回り、大学生は所有率が高くなっています。パソコンの代わりにこうしたモバイル端末を活用している大学生が多いということでしょうか?

特にある女子大学ではiPhoneの所有率が43.33%と高く、ブームになって来ている感じもあります。

大学側が今度どんな学習環境の整備に力をいれていかなければならないか、示唆されるデータになっているのではないかと予測しています。

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