Class of Tommorrow3

アップルコンピュータ(株)の法人営業部部長永坂良太さんのお話では

Instraction→Constractionへの変化をICTが生み出した事
生徒中心に一緒に考える、探索や発見のある学習の場
伝達、共同作業を行える環境

探索、創造、発信の循環のある共同作業の場の創出

等の言葉が出て来て、少しうれしくなってきた。

殆ど私が提唱し続けている内容をアップルが会社として考えていてくれるということがわかったからだ。

まさにBBCoach Project(http://bbcoach.mnw.jp/)はこうしたコンセプトの上に成り立った新たな学習環境だ。ぜひ一人でも多くの方々に知っていただきたいと願っている。

Class of Tommorrow2

富山大学人間発達科学部長 教授 山西潤一先生(日本教育工学協会会長)の話では、

学校現場のICT化とは
学力向上に役立つ手法としての教育
ICT社会での資質を育成する教育
校務のコントロール
の3本の柱があること

学力向上のデータは既に証明されていること
教える側の知識レベルで、教わる側の知識レベルに差が出て来ている事
教える側の環境を管理する管理者のレベルでその環境に差が出て来ている事

などを論じていた。

まさにその通りだと思う。
学校だけではなく、これは企業にも当てはまるだろう。

そして今後の問題点としては
授業手法の蓄積と共有
発達段階に合わせたプログラム開発
校務処理改善の意識
が必要であると提案されていた。

授業手法の蓄積と共有の為にはPodCasting(インターネット放送)が最適であろう。私は「K-12 OCW Server Japan」(http://0to1.roundtable.co.jp/ocw/)というオープンコースウェアー推進サイトを既に構築している。一人 でも多くの仲間を集めたいと願っている。

発達段階に合わせたプログラムを配信するのにもPodCating(インターネット放送)が有効だと思う。また、弊社ではスタンフォード大学が開発 した「EPGY」(http://epgy.stanford.edu/courses/math/M00A/index.html? courselectures, http://epgy.stanford.edu/courses/math/M00A/index.html?exercises.html)等も評 価して各学校に紹介している。

あとは現場にイノベーションが起きるかどうかということだろう。

Class of Tommorrow1

アップルが講演するイベントに参加してきた。
日本教育工学振興会(JAPET)主催。

元文部省、JAPETの専務理事の吉澤晴行氏のお話で心に残った言葉を紹介しておこう。
「環境が教育を改める」可能性がある。「壁を取り払う」可能性がある。

まさに、私もそう思い続けて、ICTと教育の分野で活動をしている。1994年の夏にインターネットと出会ってから、常にそう考えて来た。

環境を変える事で、サービスを受ける者も変化できるし、サービスを提供する側も変化できる。どう変化するかが問題であって、そこを見据えながら、教育現場の再構築をしていく必要があるという事だ。

慶應義塾普通部、戸山高校、多摩美術大学での授業運営、アットマーク・インターハイスクールでの学校運営、そしてBBCoach Projectでの新たな学習環境運営。ICTを使いこなす事で必ず学習の場、教育の場は変わり続けて来ている。これからもまた新たな課題に挑戦し続けて いきたいと願っている。

tk-iptv

「Takamiyans’ Internet TV」を構築しました。

大学のゼミのインターネット放送局です。教授の公開講座などを中心にゼミ活動を放映していきます。

http://tk-iptv.roundtable.o.jp/

「情報教育」と「繋がる」というテーマ

知人に依頼されて、ある都内の私立女子高校の一年生の情報の授業を使って、2時間程講演をして来ました。

カトリック系の中高一貫校で、一瞬学内に入った時には、朝礼のお祈りの声のせいか厳粛な「始めての感覚」の雰囲気を感じましたが、いざ視聴覚室に入り生徒達を前にすると、やはり一般の学校と変わらない10代の子ども達の闊達さに安堵しました。

今回の講演に当たって、伝えたかったのは「なぜ、情報を学ぶのか」「どのように学ぶのか」という点です。

まず、自己紹介をするにあたって、一方的な話にならないように、生徒達にカードを配布しました。生徒の考えている事を共有したかったからです。本来 ならメールやWebでアンケートを取るのが簡単なのですが、この学校の視聴覚教室にはプレゼンテーション用のパソコンがあるだけで、生徒の席からはパソコ ンにアクセスできません。いわゆるアナログの手段です。

問いは次の3つ。
1 先週面白かった事は?
2 今週やってみたい事は?
3 将来やってみたい事は?

いきなり、「将来の夢は?」と聞いてもなかなか出て来ないのですが、こうした質問にすると、割と効率よく返事をもらえるようです。

それでも3番目の質問で、4分の1程度で一番多かったのが「未定」でした。
次が、クリエイティブ系。コンピュータを使った仕事、映画、漫画制作、建築と言った物を作り出す仕事に興味を持っていた女子高生が13%程いました。ま た、医療福祉系という方面を目指している子も国際派の仕事を目指しているのと同じくらい7.5%程いたのが目立っていたと思います。

私は、大学時代文系の学問を修め、理系の社会人教育を経て、35才の時に転機を迎えて、独学でのインターネットの知識をつけて、「インターネットと 教育」をテーマに活動し始めた話をし、専門家になってきたことをお話しました。きっと生徒達からはとりとめの無い話になってしまったかもしれません。
でも、質問に出たのが、理系と文系での情報の学び方の違い?であったり、最後に質問に来てくれた子が、ゲームクリエータになりたいけど、専門学校と大学どちらを選んだら良い?という質問があったり、わりと話を聞いてくれたのだなと感じました。

前の質問には、あまり理系・文系と区別しすぎるのも良くないと思うと回答ました。
後者の質問には、学校の種類を選ぶのではなくて、そこでの自分の活動がネットワークづくりを中心にできるか否か、一生懸命自分探しが出来た方どうかが大切 で、基礎作りの時期なんだと説明しました。また、そうした自分の実績がその後の活動には大きく影響してくる可能性があるというような回答をしました。

そういえば自分も同じような悩みを抱えていたのではと思い出されました。

本題のテーマとしては、慶応義塾普通部での授業がそうであったように、アットマーク・インターハイスクールの学校作りも、結局は「人と人を繋ぐ仕 事」であったこと。その仕事にはインターネットやコンピュータの知識は不可欠であったこと。必要であったから学ぶのも苦ではなかった事などを説明しまし た。エクセルや,ワード、パワーポイント等のソフトを覚えるのは、最終的に人に伝える物を伝えやすくするためであること、ホームページや動画の時代になっ てもそれは何も変わらないこと、情報をデザインするということは、どんな情報を持っていて、どのように自分の中で消化吸収して、それを相手に分かりやすい ように伝えて行くかの作業であることなどを語りました。

しかし、圧倒的に進歩したことも忘れてはいけないと。つまり、コンピュータは「繋がっている」ということ、繋がった先には「人」がいるということ。 人が繋がった時に何が起きるか、どんな事が出来るようになるかを真剣に考えてみて欲しいとお願いしました。繋がる事によってのメリットもデメリットもある と思います。その点をきちんと自分で把握して、自分なりの「情報」を学ぶ理由を見つけ出して欲しいと願っています。

多摩美術大学情報デザイン学科2006年度卒業生展覧会講演会

2007年 3月 3日 (土曜日)

13:00から14:30までの間で、石田晴久先生、佐藤皇太郎先生、柳沢で、記念講演を行いました。私の担当は「動画PodCastingと美大生の可能性について」。

1時〜1時半
バンダイ・ナムコ企画室 佐藤皇太朗 「情報デザインコースにおけるアニメーション教育」
課題の出し方、目標の設定など提言があり、学生の制作したコンテンツを発表していただ
いた。

1時半〜2時
柳沢富夫 「動画PodCastingと美大生の可能性について」
美大生に期待する事として「Produce Your Own Media」を提唱。
インターネット放送の2つのソリューションの紹介。
ビーケアー IPv6によるマルチキャストとは
エムログ Telebeeの紹介、大学での使い方の例の紹介と無料サイトへの勧誘

2時〜2時半
4月から日本サイバー大学総合情報学部学部長 石田晴久
日本サイバー大学設立の経緯から、今後の学制像の期待など。

このチームで授業を2年間運営してきたことは、とても貴重な体験になった。次世代の環境をアートに敏感な学生とともに模索できたこと、現状でできな ない事の不満を整理して新しいソリューションを探すきっかけになったことなど、これからの私自身のビジネスの展開にも有意義な体験だった。

3月26日には、BBCoach Project(http://bbcoach.roundtable.co.jp)でもこのチームは再会する。
これからも長いおつきあいを続けて行きたいと願っている。

HUMI Projectの10年

もう10年も経ってしまったのですか。インターネット草創期からのプロジェクトです。
7億円で慶應がグーテンベルグの聖書を購入して始まったこのプロジェクト、私の恩師の高宮教授が中心に活動しているプロジェクトということもあり、久々に大学を訪問してきました。

10年間のインターナショナルな活動が実を結び、図書館、大学等のプロフェッショナルからの評判を戦略的に勝ち得たプロジェクトに発展しています。

Humanity Multimedia Interfaceという名付けの親が高宮教授だったという裏話も高橋名誉教授からお聞きすることができました。

また、このプロジェクト通じて、福沢諭吉先生がFukusawaというようにsaを使って日本語の「ざ」を表していたサインを使っていたという発見もありました。蘭語を学んでいた福沢先生らしいサインの仕方という見方もあります。

若手の研究者の活動の場にも繋がっているようです。しかも学部を超えてのコラボレーションが起きている事はとても意義のあることだと思います。
午前中最後の発表は文学部と理工学部の共同研究という形で、文字認識システムによる、聖書の分析手法の発表がありました。文学部からはなかなか技術を追え ない部分の研究が理工学部では初歩的な研究であることもわかりました。このあたりは、横断的な研究をもっと積極的に押し進める事が必要であると痛切しまし た。もっと早く結論が出せたはずです。

一方で、最近ではコンピュータではまだ人間のせいぜい幼稚園児の知能程度しか勝ち得ていないという論もあるようですが、コンピュータを活用した学術 的アプローチには限界があるのではないかとも私は思い始めています。だとしたら、デジタルアーカイブの研究というのは何を到達点として研究の価値があるの かを今一度見直す必要があるということです。

確かに、それまでアナログで研究してきた研究者にとっては、圧倒的な労力を削減する手段にはなるわけですが、それはあくまでも技術が解決してくれた 産業上の効率性があがったということに他なりません。つまり問題はこれからなのでしょう。時間がかかる作業から人間が解放された時に、一体人間は何を見つ けられるのか。このあたりを見据えた今後の研究が期待されるわけです。

一方で、このプロジェクトが始まってから後に出現してきたグーグルの話も出てきました。この点は単に歴史的事実として放っておくにはもったいない情 報だと思います。もっと突っ込んだ議論が必要だと思います。グーグルの企業姿勢と一般的に行われている大学でのIT技術を活用したプロジェクトでは立ち位 置で大きな違いがあるからです。(もともとはグーグルも大学のプロジェクトだったのかもしれませんが。)

グーテンベルグの聖書はメディア革命の象徴です。グーグルについても同じ事が言えるでしょう。彼らは既存のメディアをも包括して変革してしまう程の 力を持ち始めたと言えます。つまりネット革命がメディア革命に繋がっていることを意識しているか否かです。大学での研究はもっと公開されるべきでしょう。 一部の図書館、大学、知識階級に公開されて認められたという視点ではグーグルにはなれないわけです。

今後どのようにこのコミュニティを拡げて行くのか、このプロジェクトを通じて、大学を世界的なメディアにできるか否かは、今後の大学の経営者、研究者に課せられた大きな目標になるのかもしれないと、実はこのプロジェクトが起きた10年前から考えていた私の私見です。

オープンコースウェアーの活動もこのプロジェクトの兄弟プロジェクトで動き始めていますが、このあたりがもっと力を合わせて活動して行って、世界をリードするコンテンツが慶應からフリーで発信されることを期待しています