コンピュータは閉ざされた世界、冷たい機械の世界、一人で閉じこもりがちになる世界-そんな意識をお持ちの方まだいらっしゃいますか?
もちろん、コンピュータが単体で動いていた時代、又は閉ざされたネットワークの中で動いていた時代には、上記のような負のイメージがつきまとっていたかもしれません。そんな環境は人間とコンピュータの会話が中心の世界でした。
コンピュータがオープンネットワークの中に蜘蛛の巣状に張り巡らされた、インターネットの時代には、その様子は一変してしまったのです。それが今日のIT革命です。
コンピュータを介して人間と人間がコミュニケーションする世界の誕生です。ITを教育に役立てるということは、あくまでもコンピュータを使うことを覚えることではなくて、この便利になったコミュニケーションツールを用いて、人がどのように関係を構築していくかを考えていくことを中心とするべきです。
昨日、私の受け持っている私立中学での出来事です。
「先生、F1の写真が手に入りました。しかもハッキネンですよ!インターネットで素敵な写真があったので、撮影者本人にコンタクトを取って、使用許可を得ました!」
この学生の一言で、クラスの仲間の目がきらりと光りました。
一年間を通して、教材になるようなウェッブサイトを作成するというプロジェクトを通して、コミュニケーションを学んでもらう授業を展開しています。もちろんHTMLの書き方も教えますが、一貫して言い続けてきたことに、外部の人とのコミュニケーションを取ること、チームワークでプロジェクトを完遂することを説いてきました。
上記の学生は、これまでは誰か知らない人にお願い事をした経験はなかったようです。好きなことを題材としてスタートする私の授業では、学生の興味が中心になります。但し、チームを組んで取り組んでもらうので、まず仲間に自分の好きなことを説明しなければなりません。人に説明して、説得して、同じプロジェクトを進めていくことは、大変難しいことです。さらに調査の段階で、会ったこともない人とコミュニケーションをとって、ここでも自分の好きなこと、目指していることを伝えて、自分の夢に参加してもらうことをお願いするわけです。
何度もメールを書き直したようです。また、失礼なメールを書いて怒られたこともあったようです。そんなトライアンドエラーで学んだことが、夢を語り合うということだったのでしょう。自分中心のエゴでは相手を説得できません。相手を思いやる気持ちがあってこそ、同じ夢を語り合える同士として認め合うことができたのでしょう。いい友人が一人増えたわけです。
インターネットではそんな活動がスムーズに行われます。そこには大きな可能性が秘められているのです。
上記の学生の声を聞き、同じクラスの学生が動きはじめました。少年犯罪を調査しているチームは直接大学の先生とコミュニケーションをはじめることにしたようです。
現在国が何をしようとしているのか、国がらみの様々な研究会に参加している当事者を捜して、インタビューしたいと思いはじめたようです。法律がどのようにして生まれてくるのか、変化してくるのかを、実際に感じとるチャンスが生まれてくるかもしれません。
一人の感動がクラスを動かしはじめました。
アットマーク・インターハイスクールでも同じような動きが見え始めています。
「政府と参加型図書館(メディアセンター)」
政府がようやく気がついてくれた。
「IT革命を成功に導くためには、国民一人一人がネットの主役になり、知恵を出し合って新しい仕組みを作っていくことが重要であります。近く取りまとめる経済対策では、IT革命の飛躍的推進を第一の柱とし、学校や公共施設の高速インターネットを整備するとともに、全国民がインターネットを使えるよう一大国民運動を展開してまいりたいと思っています。それに必要な基礎技能習得のための思い切った方策を推進してまいります。国民が自由に利用できる公衆インターネット拠点の整備についても、できる限りの努力をしたいと考えておりす。」
森首相の第150回国会の開会の挨拶の一説だ。
→http://www.kantei.go.jp/jp/souri/2000/0921jpg_syosin.html
あとは実行に移してくれるのを願うばかりだが、もう一度ここで再確認しておこう。
「国民一人一人がネットの主役になり」という点を見逃さないで欲しい。せっかく世界中のさまざまな人が関わって、築き上げたインターネットの世界だ。情報のコストが下がり、個人個人が情報の受信者であり、発信者にもなれる環境をつくりあげてくれたわけで、舞台は整ったというところだろう。ただ、舞台はその上で演じる人がいなければ、単なる空間である。アクターの周りには、プロデューサーやディレクターも参加する必要があるだろうし、照明や大道具の人の協力も必要だ。そうした協力の中、感動を呼び起こす芸術が作り上げられる。もちろん観客も必要だろう。ただ、条件がそろっていても何も演じる題目がなく、ただ集まっているだけでは、せっかくのすばらしい小屋も雨宿りの役にしか立たないかもしれない。
インターネットの主役は私たち一人一人だ。
しかし、現状ではメールが便利などと言ってインターネットを利用するだけ利用して、貢献していない人、情報を発信していない人が多すぎはしないだろうか。
インターネット内に教育に使えるリソースが少ない、または信憑性に乏しいという批評もよく耳にする。そういう人に限って、自分では批評するだけで、何も情報を発信していない場合が多い。すばらしい情報ソースがないと言って嘆くことより、なければチャンスと理解して、自分で作り出す努力をして欲しいと思う。
学校をはじめとして、今後図書館もメディアセンター化してくるだろう。へたにバウチャーを発行して、パソコン教室に通わせるよりも、メディアセンターの充実に税金を投じるべきだと、ようやく気づいてくれたようだ。メディアセンターには国民一人一人の情報発信する場を整えて欲しい。参加型の図書館を作り出すことが私たちには急務だろう。
ということで、(株)アットマーク・ラーニングもメディアセンター作りは、当初から大きな目標として掲げてきた。ようやくその全貌を明かす時が近づいて来ている。参加型のメディアセンターを設立することによって、みなさんのご協力を必要としているのは、アットマークの先にいる我々の未来を託する学生達だ。批評者も必要で真摯に受け止めていくが、参加してくれる人はもっと必要だ。一人でも多くの賛同者にご協力して欲しいと願っている。
http://www.inter-highschool.ne.jp/appli_lec.html

