授業カリキュラムのバージョンアップ

芝浦工大中学高等学校のサイエンステクノロジーアワーを参観。
今年がカリキュラムを開発して3年目のクールになる。
NPO法人プロジェクトマネジメント・インキュベーション協会の活動として、中学3年生向けの科学系授業の最終の章として4コマ分、プロジェクトマネジメントを学ぶ講座を開発した。先生方とともに授業のテスト運用も体験し、現場の意見を聞きながらカリキュラムを改善してきた。実際に私たちが授業実践をしたのが2年前。当時から先生方にも実践に挑戦していただき、再度授業の運用を確認。さらに改善提案をしてきた。昨年と今年は全てを先生方が実践するパターン。私達はそれを参観して、さらに改善できる点はないかを再確認して提言してきた。

今回は芝浦工大の井上教授と大学生TAの2名が午前中2コマ、午後2コマを参観、そして私が午後2コマを参観させてもらった。

DAY1とDAY2という45分授業を2パッケージ開発したのだが、今回はDay1の方である。
Day1では「ビルダーとメッセンジャー」「東京スカイツリープロジェクト」の2パターン。

授業開始と共に2年前に私達が実践した時の授業が蘇って来た。開始時に生徒達を黒板付近まで移動させて、先生の発言に注目させるやり方は、以前実践したと時に、良い手法として取り入れた方法そのもの。また学校にあったバスケットボール等の試合の時間を表示させる機会を理科室に持ち込む等、当時の工夫を彷彿とさせられる。関わった様々な人たちのアイデアがそのまま活用されている。

「ビルダーとメッセンジャー」では、レゴ数個で作られた模型を、3人が観察し、1人が組み立てるという単純な課題。でもコミュニケーションの方法を充分検討しないかぎりなかなか成功しずらい課題でもある。10秒×3回の観察時間×3人という時間はあっという間に過ぎてしまう。2回繰り返すので、1回目の失敗を元にチームでどうやって手法を改善し、成功へ導くかが勝負。短時間でのチーム内でのコミュニケーションの確実な手法開発が必要なのだが・・・
今回少し気になったのは、偶然できてしまったチームの生徒達にどうやって、この課題の重要性を伝えるかだ。あるチームでは、時間がないことで焦った仲間の一人が、ビルダーに対してじれてしまい、個別バッシングが始まってしまった。しかし、情報を伝えるというより、無駄なコミュニケーションが多っかったにも関わらず、一回目でできてしまったのだ!確かに偶然もある。
もちろん反省など考えることもせずに、さらに戦略タイムも有効に活用せずに二回目に突入。案の定二回目は大失敗である。
このチームは恐らく最後まで、この課題の重要性に気がつかなかっただろう。
こういう場合、どのように気づきを起こさせるか、検討の必要があると感じた。

「東京スカイツリー」はストローと輪ゴムを使って1m40cmの塔を建てるというプロジェクト。30分以内で、設計から施行まで全てこなす必要がある。1本17cm程度のストローだから、そのままでは絶対立たない。力学的に安定させて塔を建てるには何が重要か、まずはチーム内で検討する必要があるが、とにかく考えるより早く作り込んでしまうチームが多い。一本に長くつなげて強度がないことを確認するまでは良いのだが、その後どう工夫するかというアイデアが大切。そこをチームでどう乗り切るかがこの課題の主題になる。うまく土台を作り込む事ができたチームも、チェック期間に30秒安定して立てるのに失敗してしまうと、ゲームには負けてしまう。戦略も必要だ。

午後の部の成功率が低かったのが少し心配だ。まだまだ現場での改善点はあるのだろう。今後も先生方と協同で新たな改善点を探して行きたい。今回よかったのは芝浦工大の井上先生が「記録管理」という言葉を「ナビゲータ」に変えた事。言葉を変えるだけでも生徒達のやる気を引き出せる事を確認した。「記録担当」とするだけでは「記録」の大切さを伝えることができていなかった。「ナビゲータ」とすると、「僕、それやりたい!」という発言も出て来て、少しは前に進んだ。全般的に、この途中経過の「記録」がきちんと残っているチームの成績が良かったように感じる。やはりチームの作業の進行状況をきちんと把握し、壁にぶち当たったときも記録を残す、その記録の上に新たな発見やアイデアが羽ばたいて行くのだろう。久しぶりに貴重な時間を学習者とともに過ごす事ができた。

来週はDay1の3クラス目と4クラス目。再来週、とその次の週ははDAY2「トーイハウスプロジェクト」が開催される。

 

 

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