国立新美術館

乃木坂にある国立新美術館に行って来た。

ウィーン美術史美術館所蔵静物画の秘密展」というテーマで集められた絵画の中でもひときわ輝きを秘めている、ベラスケス「バラ色の衣装のマルガリータ王女」に久しぶりに再会した。恐らく他の絵も再会している絵はたくさんあったのだろうが、記憶にはやはりこの絵が最も残っていた。

1987年の夏から秋にかけて、ケンブリッジにステイしながらヨーロッパを一人で旅したことがある。スペインのマドリッド、フランスのパリ、そしてもちろんオーストリアのウィーンにも足を伸ばしていた。この時にマドリッドのプラド美術館、ウィーンのウィーン美術史美術館で出会ったのが、このベラスケスの描くマルガリータ王女だ。プラドで見たのは「宮廷の女たち」。マルガリータを中心に宮廷のし四人達や犬などが描かれている。この絵の中にはベラスケスの自画像や、フェリペ四世国王夫妻も描かれている。マルガリータは5歳の頃だという。

ウィーンには今回展示された「バラ色の衣装のマルガリータ王女」(2〜3歳頃)、「白い服のマルガリータ」(5歳頃)、「青い服のマルガリータ」(8歳頃)の三枚のマルガリータの肖像画があり、あたかもアルバムの写真のようだった。なんでスペインとオーストリアに点在しているんだろうとその時も不思議に思い、解説本などを読んだ記憶がある。

結論は、ハプスブルク家。スペインとオーストリアに分かれていたハプスブルク家の親族関係を維持する為の、お見合い写真というのが、この一連の絵を描いたベラスケスに与えられた使命だったようだ。14歳でマルガリータはレオポルド1世に嫁ぎ、22歳にならない時に病気で亡くなったようだ。今で言えば政略結婚の犠牲になった若いマルガリータという感じで受け取られるのだろうが、この一連の絵で彼女は300年以上もこの世にその存在を人の心に植え付け続けている。ラッキーな人だと思う。

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