大学の外国語能力開発構想と社会の要請

下記のシンポジウムにお誘いを受けて参加してきた。

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HRP2008シンポジウム「大学の外国語能力開発構想と社会の要請」
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主催:外国語教育研究センター・学術フロンティア「行動中心複言語学習プロジェクト」
日時:2008年11月15日(土)14:00〜
17:30 懇親会17:45〜19:00
会場:日吉キャンパス来往舎2F 大会議室
司会:外国語教育研究センター所員 日向清人

主旨:
外国語教育研究センターでは、これまで「私たちの卒業生像」と題したシンポジウムを開催し、一貫教育校・学部の教員たちの考える卒業生像についてアンケートを行うとともに意見集約の試みを行ってきました。今回は、外国語教育研究センターが進めている「行動中心複言語学習プロジェクト(AOP)」において姿を現しつつある「出口像」 に言及し、議論を深めたいと思います。
企業の求める外国語運用能力に関する7000人規模のアンケート調査に基づく分析結果の紹介に続き、日々英語やフランス語を操り、国際舞台で活躍しておられる現役企業人の講演を通じて社会の要請する外国語能力を把握し、「出口像」の妥当性・普遍性を考えるとともに、21世紀の外国語教育における慶應義塾の方向性を見定めるための議論を展開したいと考えております。
「複言語複文化教育をも視野に入れた英語教育」という理想像と、社会、特に企業が現実に求める人材像との間に違いはあるのか、両者の比較対照・すりあわせを通じて、慶應義塾の目指すべき外国語教育の将来像を描き出したいと思います。

講演者プロフィール:
寺内一氏 本塾法学部卒業後英ウォーウィック大学で英語教育を専攻(Ph.D)。先頃、英語を使って仕事をしたことがある人、7354名を対象としたアンケート調査に基づきどの程度の英語力が必要かを見きわめる報告書をとりまとめており、その成果を踏まえての講演。

名取勝也氏
経済学部を卒業し、司法試験に合格後、アメリカでLLM(法学修士)とMBAを取得。帰国後、エッソ石油、アップル、サン・マイクロシステムズ、ファーストリテイリング(ユニクロ)を経て日本IBM(取締役執行役員)。この経験に基づき塾生に求められる英語力を説く。

仁木久恵氏
文学部卒業後、在日ベルギー大使館勤務を経て、パリにてフランス進出日本企業の支援業務等のコンサルティングに従事。この経験に基づいて、実務で求められるフランス語のレベルに焦点を当てる。

プログラム:(以下 敬称略)
13:30  開場
14:00〜 開会挨拶およびシンポジウム主旨説明 外国語教
育研究センター所長 境一三
14:10〜 講演
14:10〜14:40「ビジネスマン7000人アンケートの報告」
高千穂大学教授・塾員 寺内一
14:40〜15:10「実社会での英語使用経験から
振り返る慶應の英語教育」
日本アイ・ビー・エム株式会社取締役執行役員・
塾員 名取勝也
15:10〜15:40「実社会でのフランス語使用経
験から振り返る慶應のフランス語教育」
コンサルタント(パリ在住)・塾員 仁木久恵
15:40〜15:50 休憩10分
15:50〜 パネルディスカッション「大学の外国語能力開発
構想と社会の要請」
司会:朝吹亮二 慶應義塾大学 法学部教授
パネリスト:松岡和美 慶應義塾大学 経済学部教授
跡部智 外国語教育研究センター副所長・普通部教諭
日向清人 外国語教育研究センター所員
寺内一  高千穂大学教授・塾員
名取勝也 日本アイ・ビー・エム株式会社取締役執行役員・塾員
仁木久恵 コンサルタント(パリ在住)・塾員
17:30 閉会挨拶 外国語教育研究センター所員 日向清人
17:45〜19:00 懇親会(グリーン食堂にて)

シンポジウム ポスター(PDF):

クリックしてsymposium08.pdfにアクセス

HRP2008公式サイト:
http://www.hc.keio.ac.jp/ora/HRP/

感想として

・大学側の考えるより良い教授法のばらつき
どんな教授法も理論的には正しいのであろう。それよりも学生のログ管理が必要ではないだろうか?学生がどのような学習状態にあるのかをone to oneで把握する必要性は、どなたも説いていなかった。やはり面倒なのだろうな?
・企業が求める「経験力」の不足
大学での教育よりも、とにかく経験で覚えて行ったことが多いという発表が相次いだにも関わらず、それをどのように大学内で環境構築するかの議論が不足。
・「出口保証」としてのCEFRの活用よりも、まずは現状把握として慶応版CEFRの確立という試みについては大賛成!でも試験を創り出すには相当なコストが発生しそうですね。ケンブリッジ英検のような感じになるのだろうか?まずは、自己申告性で学生の統計データを集めるという試みはいかがだろうか?

http://e-coach.roundtable.jp/

では既に登録時に全ての学生に自己申告で自分のレベルを把握してもらっている。さらに目標値を設定して、学習が進むとともに修正していくというフローを創り上げた。ご期待ください。

“大学の外国語能力開発構想と社会の要請” への1件の返信

  1. こんにちは。学内で実験的に配布している My Languages Portfolio(私の言語ポートフォリオ)というのが「学生のログ管理」に相当するものです。教授法についてはそのとおりで、どれがいいということはありませんから、お好きな方法でどうぞ、その代わり、共通の尺度を使った到達点の設定と、その尺度で学生がどの位置にいるかぐらいは、先生たちの認識を共通にした方がいいのではないかというのが慶應版CEFRのねらいです。あと、学生の統計データは、ご存じの普通部の先生が中心になって進めており、かなり様子がわかってきています。

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