ハリウッドの野望 -4Kの世界

慶應義塾大学では昨年からDMC(Digital Media Contents)統合研究機構という組織を運営し始めています。今後のデジタル技術で生み出される文化をも研究対象にしようという試みでしょう。一方で この組織の中には次世代のe-Learningを模索するチームも活動しているようです。そうした流れもある中、一度訪問したいと願っていたところ、大学 時代の恩師の紹介の御陰で、潜入する事に成功しましたのでご報告します。 今年になって、活動し始めた静岡映像CG協会の活動の中で知り合った、テクノネットグループ代表の坂井常雄氏からも聞いていた夢の「4K」環境で作られた 映像をこの目で見る事ができるとは思いもよらぬ出来事でした。新聞発表で慶應義塾大学が4Kの画像を映し出す為のプロジェクターを購入したという記事を目 にして以来、実際にその機器自体も含めて、この目で見てみたいと願っていましたが、こんなにも早く、しかもまだ他の人が見た事もない時期にアクセスするこ とができて、とても幸せな思いをすることができました。 4Kの動画を見るには、映し出すプロジェクター以外にも、撮影する機材ももちろん必要になってきます。カメラはオリンパス製で世界にまだ5台しかないとい うことでした。しかも借り出すのに一日200万円もするという代物らしい。プロジェクターはソニー製でまだ世界で慶應義塾しか購入していないようで、 1000万円します。来月になるとUSCが購入するという段階とのこと。米国でもまだまだ普及していないシステムであることは確かです。その辺が「夢」の 話ということなのでしょう。 実際に観た映像は、能楽師、静岡文芸大学の梅若猶彦氏が脚本、主演を担当した、観念的なストーリー。横浜の日本郵船の倉庫の中で繰り広げられる、 「Birthday Cake」というタイトルの作品でした。BGMには「トリスタンとイゾルデ」が使われ、台詞はなし。看護婦の姿をした女優と、普段着姿の梅若氏、森英恵デ ザインの能のコスチュームを着て踊る梅若氏が作り出す、独特な空間と時間でした。 デジタル映画はハイキーの色を出す事に特色が出るという観点から、「白」をテーマに撮影したとか。看護婦の白の衣装、ケーキのクリームの白、森英恵デザイ ンのコスチュームの白という具合です。 なかなか私ではその良さは分からなかったが、とにかく4Kの環境の動画を観たという事実だけで、興奮してしまいました。この仕組みを使ってどのような作品 を作り出して行く事が、世界的にも有意義な事なのか、これからも考え続けて行きたいと思っています。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。