おめでとう!

川原さん、伊藤さん、ご結婚おめでとうございます。
ということで、すばらしい結婚式でした。
世界をリードするプログラマーとめきめき腕を上げていったITキャリアウーマンとのゴールイン。
お二人とも学習意欲旺盛で、これからもきっとそのインディペンダントラーナーぶりを発揮してくれるでしょう。

入院中外出許可を取って、潜り込んできました。

きっとお二人の門出祝ってくれた会場の皆さんの力を借りて、新しい一歩を踏み出してくれることでしょう。
「0to1」やはりここでもこの言葉を贈ります。

オルカフェスタ

アットマーク・インターハイスクールの年に一度の学習成果発表会。
学生自らが作成した、評価物を公開して審査をしてもらう、アットマーク独自のイベントだ。

大学の卒業論文のような分厚い論文を書く学生もいれば、いますぐにでもゲームに採用されそうなCGで作成したキャラクターを提出するものもいる。特 殊な技法で絵画を描いてくれる子も入れば、楽しかった学校イベントのフィールドワークの様子を協同でビデオ編集して披露する学生もいる。

ここで、私は学長賞なるものをずっと選定してきた。

他の賞と異なり、学長賞には厳然たる評価基準を設けている。

1 最終作品がデジタルであること
ブロードバンド時代に適したコンテンツであること。
2 共同作業での作品であること
個人プレーではなくチームプレーが遠隔で学習している学生にも体験できること。
3  公開のコンテストに応募していること
公開を目的としているコンテンツを優遇。→自分の作品が誰かの役に立つかもしれない。

全ての基準をクリアしている場合は少ないのだが、今年は以下のような作品を選定した。

発表は、デジタルビデオを使っての発表。
製作は共同作業。異年齢の仲間とともにジャズバンドを結成。アットマーク・インターハイスクールの成人学生と高校生の年代の学生が中心となり、社会人の方 達の応援ももらい、初心者バンドを結成。スタジオを借りてセッションを行った。後は、このコンテンツをポッドキャスティングしてくれると三番目の基準も満 たすかもしれない。

アットマーク・インターハイスクールの学生はインターネットで繋がっているが、とかくグループでの活動には弱いと考えられやすい。しかし、学生の周 りには地域があり、人がいて、お祭りに積極的に参加したり、こうした趣味のグループを結成する際に、異年齢の学習環境を自然と獲得するケースがまれではな い。一般の日本の高校より、開かれた学習環境を手に入れる事ができるのが、アットマーク・インターハイスクールの校風であるとも言える。

オルカフェスタはそうした新しい時代の息吹を感じ取る事ができる学習環境である。
今年もたくさんの人に応援をいただいた。感謝、感謝。

都立戸山高校卒業式

都立戸山高校の卒業式に招待された。
一年間、学校運営連絡協議会協議委員の委員として会議に参加して来たご褒美だ。
というのも戸山高校は私の母校だったから。私にはとても貴重な体験だった。
29年前に卒業して以来の戸山高校の卒業式である。

前半のセレモニアスな式はさほど感動はしなかったが、佐藤校長のメッセージが生徒の戸山での生活を良く把握している話であるのが印象深かった。

この学年の一年生の時の運動会は大雨だったようだ。それでも頑張って最後まで続けた彼らの努力は、いかにも学生主体でイベントを運営する戸山高校の自主自立の精神が反映された結果だったのだろうと推察される。

さらに感動したのは、卒業生のコメント。通常は卒業生代表は一人だと思うが、今回は4名の生徒が思い思いの気持ちを伝えてくれた。しかし、共通して 出てくるコメントとして、これも伝統に根ざしたイベントであるが、文化祭である「戸山祭」の話題が中心となっていた。30年前と全然変わっていない戸山の 校風をかいま見ることができた。

ここで、「戸山祭」について少し語っておこう。
一言で言うと文化祭である。昨年の秋の「戸山祭」も少し見せていただいたが、現状では一年生が展示、二年生が演劇、三年生が映画というコンテンツをクラス 単位で製作して発表する場だ。もちろん文科系のクラブ活動の発表の場でもある。私たちの頃も似たような感じだったが、私の場合一年生で演劇、二年生、三年 生で映画を製作した。これも生徒の自主的な運用ができる利点だ。

協同でもの作りをして行く体験はとても大切なものだと思う。私の今やっている活動自体もこの「戸山祭」の精神が宿っているのではないかとも思う。ア プローチの仕方として、私はデジタルの世界を中心には考えているが。そういえば、先日も協同教育学会で発表をさせていただいたっけ。

「戸山祭」は秋に行われる。つまり、高校三年生の夏休みはこの「戸山祭」の総仕上げの年にあたるので、必然的に勉強を取るか、文化祭を取るかなどの選択肢を迫られる訳だ。私はもちろん文化祭を取って、見事に一浪したのだった。

それでも、その伝統はいまだに継続している。そして卒業式の感動的なコメントの中にもそれは色濃く出て来ていた。そんな現役の生徒達を見ていて、久しく忘れていた自分の高校時代を彷彿とイメージする時間となった卒業式は私に取ってすばらしい体験になったわけだ。

高校にはすばらしいコンテンツがある。それは先生方の教育指導という方もあるかと思うが、私のこの生徒達自らが生み出す青春のコンテンツが、学校の 一番大きな資産なのではないかと感じた。こうしたコンテンツを学校に残して行く作業をデジタルで推進できないだろうか?伝統を生み出すデジタルコンテンツ は、学校の中にたくさんころがっているように思えてならない。

「地球地図の学校」 準備会

「地球地図」をご存知だろうか?

日本の国土交通省(国土地理院)が主体となって、国の地図データを公開していこうとする、世界規模の活動だ。
公開されたデータを元に、GIS(地図情報システム)を活用して新たな学習環境を検討していこうという試みでもある。

その第二回準備会が慶應義塾大学の日吉キャンパスで開催された。
私も協力者という事で参加させていただいた。
私からの提案としては

1 大学生を学習コーチとして考えて、中高生がこのGISシステムを使う学習環境を応援する仕組み
2 教員、学校が一体となってこの活動をさせる組織作りとその授業実践の配信作業
3 コミュニティを活用しての仲間作り

を中心に考えた発言をしてきた。

今後、どんな動きになるか楽しみなプロジェクトでもある。

日本協同教育学会

日本協同教育学会 第二回大会で講演を実施してきました。

大会テーマ 「共の拓く協同教育-支え合い高まり合う学びのために-」
2006年2月11日(土)、12日(日)
私の出番は2006年2月11日(土)15:20〜16:05 「BBcoach プロジェクトの理念と実際」
3年間実践している、若手クリエータ達へのブロードバンドコンテンツのコンテストを開くまでにいたった理念とその実践経過をお話してきました。

参加してくれたのは、教職課程を履修している大学生が中心でした。目を輝かせて聞いてくれたのは良いのですが、教育会全般で今何が起きているのか、 何が起きようとしているのかという点については、あまり意識したことがないように受け取られました。つまり、教育改革という点で現場何が問題になっている のか、今後何が問題になりうるのかの検討する時間が与えられていないのではないでしょうか?

使われる立場としての教育の現場と、実際に教壇に立ち、自らが考えなければならなくなる現場を前にした時、彼らがどのような意識を持つのか、ぜひその時に聞いてみたいと思いました。

慶應義塾大学デジタルアーカイブ・リサーチセンター成果報告シンポジウム

慶應義塾大学デジタルアーカイブ・リサーチセンター成果報告シンポジウム2
HUMIプロジェクトのいま—貴重書のデジタルアーカイヴと応用
2006年2月9日(木)13:00〜18:00
慶應義塾大学三田キャンパス北館4階会議室

主催:慶應義塾大学デジタルアーカイブ・リサーチセンター
協力:アート・ドキュメンテーション学会

というシンポジウムに参加してきました。
とても刺激的なお話を伺う事ができました。

13:00 あいさつ  鷲見洋一(慶應義塾大学文学部教授、DARC研究代表者)
HUMI Projectとしての5年、そしてその後の5年の組織についてお話いただきました。

13:10 趣旨説明  高宮利行(慶應義塾大学文学部教授、DARC研究分担者)
文科省の協力もいただいたプロジェクトの5年目の総仕上げの会であることをご説明いただきました。

第1部:事例報告
13:20 樫村雅章(慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構助教授、DARC研究分担者)
「海外研究図書館との貴重書デジタル化協同プロジェクトの実際」
高度な機器類を駆使しての、貴重書のデジタル化をするにあたっての、実際の業務フロー、現場の情報を詳細にご報告いただきました。

14:10 松田隆美(慶應義塾大学文学部教授、DARC研究分担者)
「初期印刷本のデジタル研究環境−XMLによるコンテンツ化と書誌学支援アプリケーションの開発」
XMLデータを実際に作り込んでいる様子をご報告いただきました。メタデータの詳細の発表がありました。

15:00〜15:20 休憩

15:20 石川透(慶應義塾大学文学部教授、DARC研究分担者)
「奈良絵本のデジタル化と研究環境」
個人で入手可能なデジカメでの海外に散財する貴重書のデジタル化の様子をみせていただきました。ヨーロッパはなかなか許可をいただけない所が多いけど、米国は割と簡単に許可をいただけるという情報を提供いただきました。

16:10 徳永聡子(慶應義塾大学文学部講師、DARC研究支援スタッフ)、
入江伸(慶應義塾大学メディアセンター)
「慶應義塾大学メディアセンターにおける貴重資料のデジタル情報化と公開」
メタデータを利用した公開の方法をご提示いただきました。

16:40〜16:50 休憩

第2部:総括討論  16:50〜18:00

提題「国際連携と研究環境の革新をめざして」高宮利行
学位が授与できるような組織作りのご提案がありました。

パネリスト:村井純(慶應義塾常任理事)、西村太良(慶應義塾常任理事)、鷲見洋一、および、第1部の事例報告者
コーディネーター:高宮利行

メタデータをつくる際のメタデータの整理。つまり完成品でけではなく、その作業の記録が大きな意味を持つ(鷲見)。
時間と空間を開放するインターネットだが、逆に時間と空間の意味がデジタルデータについてくると、さらなるデータの質の向上が得られるという視点(村井)。
等が印象に残った発言でした。

全般的に、
今後こうした活動をどのように公開していくかが問題だと考えられます。
「メタデータのメタデータ」とても大切な概念で、デジタルデータを作り上げる際の記録はとても貴重なデータになるはずです。たとえば、今回のようなシンポ ジウムが公開であったのと同時に、公開の枠をインターネットで拡げて、シンポジウムの動画配信なども考慮にいれるべきでしょう。後日PodCasting しても面白いかもしれませんが、そうした配信をも考えた上でのコンテンツ作成(照明等の検討)も必要でしょう。

また、今後ウゥブなどでの公開も検討されているようですが、公開時のアプリケーションを世界共通かする努力も必要になると思います。貴重書データの配信用のiTunes等のソフトが開発されることを望みます。

ソフトイーサ

すばらしい才能の持ち主に出会いました。登大遊君。筑波大学の3年生。
高校時代からプログラム系の本の執筆もしているプログラマーで、しかも学生起業家です。

開発されて世界に売り出しているのは「ソフトイーサネット」。
ネットワークカードのハードから構成されるイーサネットとは異なり、ソフト上でコンピュータを繋ぐという壮大なプロジェクトをすすめています。
もともとは「大学内からのネットワーク環境が閉ざされていて、自由にコンピュータを繋げられない」という不満を解決する為に開発されたとか。
某自治体が住基ネットの侵入に利用したと報道されたようで、一時販売停止になっていたようです。 サーバーとサーバーをソフトでブリッジ接続する仮想VPN構築ソフトです。
例えば、80番ポートしか空けてくれていない大学のサーバーを利用して、80番からソフト上パッケージ化されたイーサネット環境そのものを受け渡してしまうという代物らしいです。
マイクロソフトやサンマイクロソフトからも注目されている、数少ない日本人プログラマーと言ったところでしょうか。今後の活躍をとても期待しています。

http://www.softether.co.jp/

ハリウッドの野望 -4Kの世界

慶應義塾大学では昨年からDMC(Digital Media Contents)統合研究機構という組織を運営し始めています。今後のデジタル技術で生み出される文化をも研究対象にしようという試みでしょう。一方で この組織の中には次世代のe-Learningを模索するチームも活動しているようです。そうした流れもある中、一度訪問したいと願っていたところ、大学 時代の恩師の紹介の御陰で、潜入する事に成功しましたのでご報告します。 今年になって、活動し始めた静岡映像CG協会の活動の中で知り合った、テクノネットグループ代表の坂井常雄氏からも聞いていた夢の「4K」環境で作られた 映像をこの目で見る事ができるとは思いもよらぬ出来事でした。新聞発表で慶應義塾大学が4Kの画像を映し出す為のプロジェクターを購入したという記事を目 にして以来、実際にその機器自体も含めて、この目で見てみたいと願っていましたが、こんなにも早く、しかもまだ他の人が見た事もない時期にアクセスするこ とができて、とても幸せな思いをすることができました。 4Kの動画を見るには、映し出すプロジェクター以外にも、撮影する機材ももちろん必要になってきます。カメラはオリンパス製で世界にまだ5台しかないとい うことでした。しかも借り出すのに一日200万円もするという代物らしい。プロジェクターはソニー製でまだ世界で慶應義塾しか購入していないようで、 1000万円します。来月になるとUSCが購入するという段階とのこと。米国でもまだまだ普及していないシステムであることは確かです。その辺が「夢」の 話ということなのでしょう。 実際に観た映像は、能楽師、静岡文芸大学の梅若猶彦氏が脚本、主演を担当した、観念的なストーリー。横浜の日本郵船の倉庫の中で繰り広げられる、 「Birthday Cake」というタイトルの作品でした。BGMには「トリスタンとイゾルデ」が使われ、台詞はなし。看護婦の姿をした女優と、普段着姿の梅若氏、森英恵デ ザインの能のコスチュームを着て踊る梅若氏が作り出す、独特な空間と時間でした。 デジタル映画はハイキーの色を出す事に特色が出るという観点から、「白」をテーマに撮影したとか。看護婦の白の衣装、ケーキのクリームの白、森英恵デザイ ンのコスチュームの白という具合です。 なかなか私ではその良さは分からなかったが、とにかく4Kの環境の動画を観たという事実だけで、興奮してしまいました。この仕組みを使ってどのような作品 を作り出して行く事が、世界的にも有意義な事なのか、これからも考え続けて行きたいと思っています。